石破茂「軍法会議」発言文字起し

2013/4/21「週刊BS-TBS報道部」より

石破「今の条項ですが、その軍事裁判所的なものを創設するという規定がございます。『自衛隊が軍でないなによりの証拠は軍法裁判所が無いことである』という説があって、それはですね、今の自衛隊員の方々が『私はそんな命令は聞きたくないのであります、私は今日かぎりで自衛隊をやめるのであります』、言われたらああそうですかという話になるわけですから。『私はそのような命令にはとてもではないが従えないのであります』といったらめいっぱいいって懲役7年なんです。で、この、これは気をつけてモノを言わなければいけないんだけど、人間ってやっぱり死にたくないし、ケガもしたくないし、『これは国家の独立を守るためだ、出動せよ』って言われた時、死ぬかもしれないし、行きたくないなと思う人は、いないという保証はどこにもない。だからその時に、それに従え、それに従わなければその国で起きる最高刑である、死刑がある国には死刑、無期懲役なら無期懲役、懲役300年なら300年、そんな目に会うくらいだったら出動命令に従おうっていう、『お前は人を信じないのか』って言われるけど、やっぱり人間性の本質ってのから目をそむけちゃいけないと思うんですよ。今の自衛官たちは服務の宣誓というのをして、『事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる』っていう誓いをして、自衛官になってるんですよ。でも、彼らのその誓いだけがよすがなんですよ。本当にそれでいいですかっていうのは問わねばならない。軍事法廷っていうのは何なのかっていうと、すべては軍の規律を維持するためのものです。」

杉尾秀哉キャスター(以下「杉尾」)「あのここにですね、この憲法改定の、国防軍に審判所を置くとなっています。審判所となっていますね、この審判所っていうのがそれにあたるという、これはただその公開の法廷じゃないんですね?」

石破「公開の法廷ではございません。」

杉尾「ないんです、そうするとそれは秘密裏に行われていくという・・・」

石破「それは最終的には、不服があれば上告することが可能だということは理論的にはあるんです。」

杉尾「ああ、上訴権は書いてあるんですが」

石破「書いてあるんです、そういうですね、なんでもそこで秘密でやってしまうということはいたしません。それは基本的に人権に抵触するものですから。そういうことはいたしません。しかしながら、その審判所の目的はただ一つ、軍の規律を維持する、ということなのであってそのことに広げることをしてはいけません。もう一つは確かに上訴は認めてますが、そのことを審判するのに何年何年何年もかかるならば、規律の維持は極めて難しいので、そこの調整は計らなければなりません。そして、当然われわれが検証しなければいけないのは、帝国憲法下の軍事法廷はどうであったのかということの検証はきちんとしなければならないということだと・・・」

大臣が侵略戦争を認めた日 85年小川文部相答弁

前口上
以下の文章は、歴史教科書検定が問題となった1982年に小川平次文部大臣(当時)が、日中戦争侵略戦争と認めた際の会議録である。「日中戦争侵略戦争である」と国務大臣が明言したのはこれがはじめてであり、*1戦争責任問題を語る上でも重要であると考え、ここにアップする次第である。なお会議録中にある「小川国務大臣」は小川平次文部大臣(当時)のこと、「木島委員」とは日本社会党の木島喜兵衛議員のことである。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/096/0170/09608060170019a.html

82/8/6 衆議院文教委員会
○木島委員 
(…) いままで文部省は、たとえば中国なら中国に対して、一つは、共同声明は尊重する、学校教育においてもそれは重視する、第二は、謙虚に耳を傾ける、第三は、誤解を解くように真意を伝える、この三項目ですね。
 そこで、まず第一の共同声明[日中共同声明のこと]でありますけれども、責任を痛感し、深く反省するとは、何に対して責任を痛感し、深く反省するというのでありますか。共同声明の、責任を痛感し、深く反省するとは、一体何に対して痛感するのですか、反省するのですか。
○小川国務大臣 かつての戦争におきまして中国に対して甚大な損害を与えたということに対する責任を反省する、申すまでもなくそのような意味でございます。
○木島委員 そのことはまさにおっしゃるとおり共同声明の文章そのものであります。過去において日本国が戦争を通じてという、この過去における日本国の戦争というものは日本にとって正当なるところの戦いであったと御認識でありますか。
○小川国務大臣 私は、きわめて率直に申しますが、これは弁護することのできない戦争であったと考えております。
○木島委員 それを侵略戦争とお考えでありますか。
○小川国務大臣 私は、弁護することのできない戦争と申しましたが、この言葉を他のいかなる言葉に置きかえていただこうとも結構でございます。
○木島委員 結構ということは、侵略戦争と考えてよろしゅうございますか。
○小川国務大臣 御自由でございます。
○木島委員 御自由、どのように理解しても御自由ということでありますけれども、大臣は侵略戦争とお考えになっていらっしゃると考えてよろしゅうございますか。
○小川国務大臣 私の申しましたことをいかなる他の言葉で表現なさっていただこうとも御自由でございます。
○木島委員 確かに第二次世界大戦後の世界情勢によると進撃とか進出ということが当てはまることがきっと多いのでしょう。なぜかと申しますと、侵略というのは武力による進出あるいは侵攻とその支配というものが侵略というものの世界的な常識であります。通説であります。だから、支配がなければ侵攻とか進出ということになるかもしれません。日中戦争という十五年戦争は、大臣御案内のとおり、完全に武力によるところの進出であると同時に、支配をした。したがって、それは侵略である。このことはまた、日本の学者の通説でもあることは文部省も認めておる。
 だから、文部大臣はどういう言葉でもって御理解くださっても御自由ですとおっしゃるけれども、あなた自身はこれを侵略戦争と思っているのか、思っておらないのか。――いや、大臣、そんな役人に相談したって始まらぬのだよ。大臣、僕は、きょう、さっき最初に言いましたように、宮澤さんの代理という意味も含めて、事務的なことでなしに、まさに政治家の、政治問題になっているのですから政治家の話をしたいと思っているのです。そういう意味で、この問題に対するところの、ことに中国通のあなたにとって心を痛めていらっしゃる、その政府の方針の第一が共同声明を尊重するという、その共同声明という、その戦争を通じて中国人民に与えた大きな損害に対して「責任を痛感し、深く反省する。」というその戦争とは一体何か。そのことが明確でないことが今日の一番大きな問題なんでしょう。そうなんじゃないのですか。だからこそ、これを侵略と考えておらないから、調査官等はこれを進出でも侵入でもいいじゃないかということになっておる。そこに問題がある。ここは政治問題になっておるのですから、政治家としての、ことに中国通の小川大臣の真意を聞きたい。
○小川国務大臣 私は弁護の余地なき戦争と申し上げましたが、どうしてもそれで御満足なさらないということであれば、侵略であったと申し上げます。これでよろしゅうございましょうか。

○有島委員 そうなりますと、これはやはり総理大臣にお越しいただかなければならぬな。当委員会に総理大臣もお越しいただくといったこと、これは院の問題でございますから、委員長にお願いして理事会に諮ることでございますけれども。文部大臣としてはそう考えている、政府としても多分そうであろうというような、ちょっとあいまいなんでございますね。
 前回の質疑のときに、文部大臣に質疑申し上げてこのことにつきまして確認をした。一つには、国内で使われている教科書については責任回避する余地なく、これは文部大臣の責任である。このことは御確認になった。それから日中戦争というものが、あるいは満州事変も含んでこれは侵略であった、南京事件は非常に残忍なる行為であった、このことはお認めになったわけです。あのときの認め方は、御説のとおりです、こうおっしゃったわけです。きょう午前中に木島委員からの質問によって、侵略です、こう申せばいいのですかというような、何かちょっと投げやりなお答えであった。これは気になります。
 まず、文部大臣としてめお立場の以前に、いま一人の政治家の立場として、小川代議士はこの日中戦争を侵略行為であった、このように心から思っていらっしゃるのか、あるいは心の幾分かどこかには、いやあれは正当防衛の面も少しあったのだ、こういうふうにお考えでいらっしゃるのか、それを確かめておきたい。どうです。
○小川国務大臣 私は心にもないことを申し上げたつもりはさらさらございません。
○有島委員 したがって――はっきり言っていただきたい。
○小川国務大臣 ちょっと御質疑の意味をはかりかねております。どういうことでございましょう。
○有島委員 日中戦争をどのように評価していらっしゃいますか。
○小川国務大臣 先ほど申し上げたとおりとお答をいたしたつもりでございます。
○有島委員 それをはっきり言っていただきたい。
○小川国務大臣 侵略戦争であるということを明白に申し上げました。
○有島委員 文部大臣というお立場としてもう一遍言っていただけますか。
○小川国務大臣 文部大臣の立場でそのように認識している、こう申し上げます。
○有島委員 閣僚の一人としてというのはしつこいみたいだけれども、これはいまの内閣の方々は皆そのように認識をしていらっしゃる、そういうように評価していらっしゃる、そう考えてよろしゅうございますね。
○小川国務大臣 これは私がとやかく申し上げる立場じゃございません。恐らくおおむね同様の御認識ではなかろうかと推察をいたしております。
○有島委員 文部大臣、いまいろいろ問題になっておるこのことについては、文部大臣として、日本の教育界に向けて、内外に向けてでもよろしい、正式に日中戦争侵略戦争であったというような声明を発せられる、そういう御用意はありますか。
○小川国務大臣 ただいま特別に声明を発するというような気持ちはございません。

*1:家永三郎(1985)「戦争責任」岩波書店 p55-56

「一人ひとりを包摂する社会」特命チーム会合資料一覧

はじめに
「一人ひとりを包摂する社会」特命チームは、菅政権時に≪最小不幸社会の実現に向けて、地域や民間の多様な知見を借りつつ、「孤立化」の実態を明らかにするとともに、セーフティネットの強化を含めた社会的包摂を推進するための戦略(「社会的包摂戦略」)策定≫*1を目的として政府が設置した組織である。マスメディアの注目こそ大きくなかったものの、貧困、DV、児童虐待、外国人、障害者の問題など、多彩な視点から社会的包括について議論が行われた。また、同チーム会議で配布された有識者たちの資料は、現場での経験など貴重な情報が記されおり非常に興味深い。ただタイトルを「××氏提出資料」と表記するなど、公式サイトはわかりにくい。というわけで勝手に資料一覧を作った。

注意
・特命チーム自体についての資料、メンバー名簿当ここで取り上げなかった資料も存在する。
・基本的に各資料タイトルはpdfに記されているものをそのまま使用したが、一部タイトルがわかりにくいもの、定められていないものがあった。それに関してはこちらで便宜的にタイトルを定め、≪≫に入れて記した。
・リンクされている資料は全てpdf形式のものである。

第2回(2011・2・22)
福原宏幸「社会的排除/包摂」についての概念的整理
佐藤久男「一人ひとりを包摂する社会」特命チームにおけるヒアリング≪秋田における自殺対策≫
田村太郎「外国人住民と社会包摂の課題」
谷垣秀人「兵庫県豊岡市 多重債務者の救済と滞納税の徴収成果」

第3回(2011・3・7)
伊田広行「非正規雇用問題関連」
勝部麗子「セーフティネットの課題 地域力と開発力 豊中市のコミュニティソーシャルワーカーの取り組みから」
遠藤智子「当事者と支援者が切り拓くDV被害者支援」
遠藤智子「配偶者からの暴力に関するデータ」
奥山幸博「インクルーシブ社会の実現を目指して」
奥山幸博「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見) (障がい者制度改革推進会議)【概要】」
奥山幸博「障害者制度改革の推進のための第二次意見(平成22年12月17日障がい者制度改革推進会議)【概要】」
総務省「生活困窮者対策等における税務情報の活用について」

第4回(2011・3・24)
中山泰 「自殺のないまち、自殺に決して至らせない社会を目指して」
奥田知志「ホームレス支援から見た絆の課題」
奥田知志「地域資源活用型困窮者支援 『ツーストップサービス型困窮者支援事業に関する研究開発事業』」
奥田知志「東日本大震災に対する北九州市として対応についてのお願い 官民協同による被災者受け入れ 日本「絆」プロジェクト−北九州「第二のふるさと」計画 (仮称)」
奥田知志「日本「絆」プロジェクト―北九州第二のふるさと計画―計画案」
赤石千衣子「母子家庭の仕事とくらし3 概要案」
赤石千衣子「シングルマザーと社会的包摂
白鳥 勲「支え」と「学び」で希望を 〜貧困の連鎖を断つとりくみ〜」
文科省 「経済・社会の仕組みや労働者としての権利・務等についての理解の促進について」
文科省 「知って役立つ労働法 働くときに必要な基礎知識」

第5回
平塚眞樹「教育上の不利な立場(educational disadvantage)と社会的排除」
平塚眞樹 ≪教育についての各種統計≫
平塚眞樹 ≪労働市場について≫
安田淑美「群馬県発達障害者支援センターの取り組みから」
渡井さゆり「日本で最も社会的排除を受けている子どもたちの現状」
渡井さゆり≪児童虐待等の報道≫
内閣府「社会的責任に関する円卓会議について」
内閣府「安全・安心で持続可能な未来に向けた協働戦略」


第6回
配布資料
「特命チームにおけるこれまでの取組・検討」
野村総研「社会的排除の実態に関する調査―調査結果概要―」
「有識者ヒアリング」
「社会的包摂政策を進めるための基本的考え方(骨子)」
「社会的包摂政策を進めるための基本的考え方(概要)」
特命チーム「社会的包摂政策を進めるための基本的考え方(本文)」
参考資料
「一人ひとりを包摂する社会」特命チームについて」

第7回
配布資料
特命チーム「社会的包摂政策に関する緊急政策提言(案)」
参考資料
「社会的包摂政策を進めるための基本的考え方」(骨子)
「社会的包摂政策を進めるための基本的考え方」(概要)
特命チーム「社会的包摂政策を進めるための基本的考え方」(本文)
東日本大震災復興構想会議「復興への提言〜悲惨のなかの希望〜」(抜粋)
東日本大震災復興対策本部「東日本大震災からの復興の基本方針」(抜粋)
政府・与党社会保障改革検討本部「社会保障・税一体改革成案」(抜粋) 

*1:同チーム第一回会合の資料3『「一人ひとりを包摂する社会」特命チームの設置について』より引用。

ホブズボーム関連記事まとめ

訃報http://www.asahi.com/obituaries/update/1002/TKY201210020138.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/obit/news/20121002-OYT1T00779.htm
(おくやみ)エリック・ホブズボーム氏が死去 英国の歴史家 :日本経済新聞
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121002/k10015442681000.html
追悼 エリック・ホブズボーム - 研究室ニュース | 熊本大学文学部 総合人間学科 文化人類学

その他三省堂|20世紀の歴史
 「20世紀の歴史 極端な時代」版元サイト。著者・訳者紹介、目次、「日本語版への序文」「序文と謝辞」の一部を掲載

http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%83%9B%E3%83%96%E3%82%BA%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%A0/
 日本大百科全書小学館)記載のホブスボーム記事

Age of Extremes
 近藤和彦東京大学大学院教授による「20世紀の歴史 極端な時代」の書評。

生活保護関連記事まとめ(私家版)

わりとわかりやすい解説
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/121895.html
http://mainichi.jp/opinion/news/20120606ddm003070061000c.html

市民団体・活動家等の意見
生活保護問題対策全国会議 -生活保護制度に関する冷静な報道と議論を求める緊急声明
生活保護問題対策全国会議 -扶養義務と生活保護制度の関係の正しい理解と冷静な議論のために
生活保護問題対策全国会議 -生活保護制度に関する冷静な報道と議論を求める緊急声明
反貧困ネットワーク『バッシングを利用した生活保護制度の改悪を許さない声明』
芸能人家族の生活保護問題に思う。の巻‐雨宮処凛‐マガジン9
浦部法穂『生活保護と扶養義務』(法学館憲法研究所)

新聞記事
中日新聞:生活保護の扶養義務 運用厳格化を危惧 申請抑制、餓死・孤立死招く(ウェブ魚拓)
東京新聞:生活保護 悩ましい?高校生のアルバイト収入 未申告で不正10年度に45件:神奈川(ウェブ魚拓)
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201206140206.html
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/307816
京都新聞社説:生活保護と親族 扶養義務強化は慎重に
東京新聞社説:生活保護「命綱」を断ち切るな(ウェブ魚拓)

(12/9/27追記)